アークテリクス ハードシェルを修理に出してみた

スポンサーリンク

 2月から数十年ぶりにスキーを復活しました。板は貰い物で、ブーツを購入、ウェアはとりあえず登山用品で済ませました。登山ウェアはスキーウェアと比べると防寒性・保温性に乏しいところはありますが、インナーウェアを工夫すれば必要十分に機能してくれます。

スポンサーリンク

気が付けばベタベタボロボロに

 私が使っている登山用のハードシェルはアークテリクスのBETA AR。10年以上前に5万円くらいで買ったと思います。当時は合羽(上着だけ)に5万!と思ったのですが、登山中の安心感は絶対的なものがあり、特に雪山では活躍してくれました。3レイヤーの厚めのゴアテックスで、普段はほとんど使わないので(私は基本晴れの日にしか登山しませんw)かなりきれいに使っていたのですが、今回雪山歩きを終えて宿に戻り、シェルをハンガーにかける際に違和感が・・・なにかベタベタしています。

 よく見るとジャケットの裾、ドローコードの部分が加水分解で剥がれています・・・しかもほぼ全部。ショックでしたw ベタベタの原因は剥がれかかった接着剤の残りでした。

下の部分が全部剥がれてコードがむき出しになっています。

 ゴアテックスウェアは防水透湿がウリで、特殊な生地なため縫製されておらず(縫製部分から水がしみこむリスクがあるため)、接着剤でパネルを貼り合わせて作られています。そのため、この接着部分が経年劣化で剥がれてきてしまうという弱点があります。普通5年くらいで危うくなるようですが、私の場合そこまで酷使せず、夏はもう一着を使っているため洗濯する機会も少なめだった為か劣化に気づきませんでした。 

 ちなみに日常のケアは、雨や雪にぬらした時、汗をかいたときに行っていました。といっても3年に一回あるかないか。選択はグランジャーズで行っていました。

 かなり派手にはがれているので「仕方ない買い替えるか・・・」とスマホで調べてビックリ。今このシェル10万円超えてますw 生地が私のよりも新素材なのだけれど、それでも高い・・・

ReBIRD

 ゴアテックスウェアの補修はメーカー補修が基本。受け付けてくれる一般業者もあります。自分でシームテープを買って簡易的な補修もできますが、あくまで暫定的な補修なので現実的ではないでしょう。

 とりあえず今回剥がれた部分を自分で修理するしかないかと思っていたのですが、その際にこんな記事を発見。

ReBIRD™ Service counter | ARC'TERYX
「アークテリクス 東京 丸の内ブランドストア」店内に設置された「ReBIRD(リバード)™ サービスカウンター」。製品の詳細やお手入れ方法のご案内や修理サービスの受付を行なっております。

 私のBETAはかなり古いので受け付けて貰えるかちょっと怪しかったのですが、買い換える前提ならダメもとで聞いてみようと電話をしてみました。

 状況を説明をして修理の希望を伝えたところ「とりあえず見て見ましょう」と言ってもらえたので、そのまま受付予約をし、後日丸の内のアークテリクスへ行ってみました。

 丸の内自体私行くことが無いので、街から店から超高級イメージで腰が引けますw 店内は円安パワーの為か8割は外人さん状態。そしてお店の左奥に修理コーナーがありました。

 結果から言うと、本来アークテリクス製品は正規輸入品でBirdAidという保証制度に加入している必要があるのですが、私の持っている製品はその制度ができる前の製品であり、なおかつアークの正規品であること(ただし海外から購入したものです)がタグから判断できるようで、今回は受け付けてもらえることに。

 お店で係の人にシェル全体を細かくチェックしてもらい、説明を受けます。すると、あちこち接着部分に剥がれが見受けられ、ほぼフルオーバーホールということになりました。自分でもびっくりするくらい剥がれかかっていて驚きました。生地がへたっている場合は修理はできないこともあるそうですが、私のBETAはまだ初期のゴワゴワ感が残っているレベルなので問題なかったようです。

 ちなみに古いシェルでメンテナンス不足の場合、雨がしみこむ可能性があり、そのまま風に吹かれて低体温症になってしまうなんてことがあります。実際遭難事故のいくつかはこれが原因で致命的な遭難事故になっていたりします。自分のシェルの状態はこまめにチェックしておきましょう。

こんな風になっていたら危険です

 係の人とBETA ARをチェックしていて「これがもうそろそろ限界のサイン」というのを教えてもらったので、家にあった夏用のAlpha SLをチェックしてみました。こんな感じだと危険ですw

これアウトです。ノリがはみ出て硬化しており、ボロボロ白い粉になって落ちます。ショックw これはAlpha SLのフードの内側

 フロントジッパー部分も怪しいです。

 このようにパネル(生地)の繋ぎ合わせ部分を見ていくと、かなり加水分解が見受けられました。この赤いシェルは秋になったら修理お願いしてみる予定。

 次は修理したBETA。

 今回全部剥がれたドローコード部。完璧です。

 そのほかもほぼ全部張り替えているのできれいになっています。これはかなりいい仕事をしてくれています。ありがたい!

応急処置方法※自己責任でお願いします

 ちなみに剥がれかかりを見つけた場合の応急処置方法。高価なシェルはプロにさっさと任せた方が良いです。しくじると買い替えになります。私はコレでソフトシェルを溶かしましたw

 かなりボロボロです。この接着部分をアイロンで加熱します。あて布をしてドライアイロンの中でやります。心配な人はやらないでください。あて布は必須です。

 私はわざわざあて布とアイロン買いましたw 普段から結構活躍してくれています。

 この状態でアイロンがけすると・・・

 とりあえず白い部分が溶けて再接着状態になりました。アイロンがけ直後はベタベタするので触らないようにしましょう。冷めると元に戻ります。

 ちなみにゴアテックス製品は洗濯後に表面にあて布+アイロンをすることで防水性が復活するし、上にあるリペルを使うと初期のバリバリ感も出せます。なのでその際に注意しながら内側も軽くアイロンがけしておけば接着部の延命も同時に行うことが出来ます。

 つまり定期的に洗濯・アイロンがけで長持ちが期待できるわけです。ゴアテックス生地自体は汚れなければ半永久的に使えるそうです。

 

定期的なメンテナンスをしましょう

 天気予報が晴れの日にしか登らない私でも、那須の朝日岳(遭難多発ポイントです)では暴風の中シェルを着て動けるようになるまで耐えたことがありますし、剣岳の帰り道はずっと雨の中を歩くことになったりもしました。登山では天気の急変はよくあることで、そんなときにシェルが破れていたとか笑えません。普段は保険代わりにザックに入っているだけですが、ここ一番の性能は代えがたいものがあります。

 登山道具で一番高価といっても過言ではないシェルですが、ここ一番で性能を発揮させるには日ごろから定期的なメンテナンスや目視をしておくようにしましょう。

 ReBIRDで修理が受けられる場合、修理依頼が非常に多いらしく、余裕を持って半年の修理時間を考える必要があるそうです。ちなみに今回の修理価格は3万円(税込33000円)とのこと。私のBETAは今は存在していない色で、かなりお気に入りなので超ラッキーだと思いその場でお願いしました。

 お店へ預けたのが2月初め、それから3ヶ月でメールで修理完了の連絡があり、6月11日、たまたま東京へ行く用事があったついでに受け取ってきました。出来栄えは最高です。アークテリクスのシェルは立体裁断なので、素人が修理するのは非常に難しいですが、性能は最高クラスなので修理代がかかっても直して使い込んでいきましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました