登山の方法は日帰り登山・小屋泊・テント泊などがあります。登山初心者の頃は日帰りや小屋泊が普通でしょう。荷物は少ないですし、リスクも比較的少ないです。ただ、慣れてくるとチャレンジしてみたくなるのがテント泊ですよね。
時間に縛られることなく、人に気遣うこともなく(多少はありますがw)、自分のペースで、自分のスタイルで楽しめる登山は、それまでの登山とは違った魅力があります。実際にやってみると、それまでの登山とは全く別物ではないかというくらい、辛さや苦しさがありますが、テン泊でしか味わうことのできない、楽しさや充実感を得ることができます。
しかし憧れだけで始められるほどテン泊が甘くないのも事実。私が初めて行ったテン泊はあまりの荷物の重さに普通に歩くのも難儀して、上りになった時には「もう無理・・・」と泣き言を言いながら登ったものでした。
2回目はテンバまでは近かったので多少の重さは我慢できたのですが、今度は装備不足で夜寒くて眠れませんでした。翌日は案の定寝不足で辛いだけの登山でした。
どちらも失敗の原因は荷物の量と体力のバランスの悪さ、そして自分の予想の甘さが原因です。あれこれ心配で荷物は体力を超えた重さになり、一方で想定していない事態になると、装備不足で対応しきれないという、準備不足が失敗の原因でした。
昨年の白根三山縦走は、それまでの失敗を踏まえ、かなり綿密に作戦を練って臨みました。結果的には体はボロボロになりながらも、どうにか終えることができて、大いに自信になりました。「これで俺はどこにでも行ける可能性を手に入れることができた」と思ったものです。
おそらく以前の私のように「テン泊してみたいけれど何もわからない」とか、
「怖くてできない」という人は少なからずいると思います。そこで今回はこれからテン泊やってみようという方のための、テン泊準備の方法について書いていこうと思います。
私はアラフィフおっさん、体力自信なし、百名山40登前後、テン泊歴は2回(瑞牆金峰山と白峰三山)、普段趣味でオートキャンプへはちょこちょこ行くレベルのテン泊初級者です。
この記事を参考に、貴方の体力に合った装備を増やしたり削ったりしてください。
テント泊の醍醐味
テン泊は重い・辛い・寒い・寂しい・天候の影響をダイレクトに受けるなど、一見ネガティブ要素の多い苦行に見えてしまうのですが、こと「自由」という意味では最高の登山方法です。
満天の星を独り占め、朝焼けを独り占め、まったく時間に縛られない山行、日帰りや小屋泊では経験できない山を感じることができます。慣れれば、小屋の位置に縛られない山行もできますよね。
ただしこの「自由」には「自己責任」という言葉が常に付いて回っていることは忘れないでください。私の得意な「まぁいっか」「どうにかなるか」はかなり危険です。やれるときにやっておく、常に最悪を想定して対策する。ちょっとした冒険には自分の判断がとても重要になってきます。最新の注意も払ってテン泊を楽しんでください。
準備から山行の終わりまで、すべて自己責任で完結させる充実感・達成感は、小屋泊では味わえない格別のものがあります。
テント泊に必要なもの
基本装備は日帰り装備
テン泊装備の基本は日帰り装備。極端な話テントを忘れても小屋泊で乗り切れますが日帰り装備が無いと、登山することすらできません。
まずは普段の基本装備を、いつも通り揃えましょう。特にヘッデン・コンパス・地図・雨具あたりは絶対に忘れないように。
普段トップリッド(ザックの一番上のスペース)に入れてあるだけのヘッデン、テン泊では神装備です。まぁ一度テン泊したら、新しいヘッデン探す人は多いだろうな。私?買いましたよw
シミュレーションしてみる
これからのルートを地図を見ながらシミュレーションしてみましょう。どこで休憩して、何時にどこでテントを張って・・・ このシミュレーションがリアルになればなるほど装備は確実なものになるでしょう。
ルートタイムは私の場合、普段の1.2倍余計に時間を取ると考えています。理由は荷物の重さでしょう。1日の行動時間はマックスで6時間。これはポンコツ親父の場合ですが、あなたがきついと感じるレベルの8掛けくらいの設定がいいと思います。。無理をした場合のリスクは軽身の際の数倍になるので、くれぐれも無理な計画はしないようにしましょう。
もし滑落したら、もし天候が急変したら、もしルートが崩落していたら、ネガティブ要素はできる限り抑えておいたほうがいいです。そうなると自ずと撤退するポイント、あるいはエスケープルートが見えてくると思います。何か起きてからパニクるのではなく、色々なリスク対策をしておきましょう。
目標総重量
私の場合は20キロ超えたら危険です。ザック込みの総重量です。軽ければ軽いほどいいですが、装備の不足は危険です。
衣
日帰りプラスで、テン場での服装、防寒対策、予備が必要になります。当然お風呂はないものと考えて、アンダーウェアは速乾防臭素材の山用装備がオススメです。
特に重要なのは防寒装備。寒くて眠れないとか普通に起きうる事態です。私は未だに寒くて眠れない夜を過ごすことが多いです(ダメじゃんw)。寝袋とのバランスをよく考えて「暑いかな?」くらいがいいと思います。心配ならば電話で小屋に夜の気温などを確認しておいたほうがいいです。
行動着は二泊までなら予備一枚あったほうが良いでしょう。雨で濡れることも想定しておきましょう。
食
これは個人によって違いますが、私は山行の間はほぼフリーズドライがメイン。味や満足度より軽さを求めます。調理すれば装備は増えていきます。小屋での食事を当て込むのもありです。その際は事前に予約をしておきましょう。
行動食はソイジョイなどが多いです。腹持ちのいい固形物ですね。ソイジョイだけで生きられるか。2日はいけますが、やはりフリーズドライの温かいものが一番ホッとできます。
スープ関連は持っていくことをお勧めします。私は「ふえるワカメごまスープ」は外せません。疲れた体に染み渡り、かなりありがたいです。「たまごスープ」なんかもいいですネ。
また水はどこで補給するのかはとても大事です。水だけは重くても多めに準備しておきましょう。私は去年の白峰三山で途中水がなくなり焦りました。水が切れるというのは絶望に近いものがあります。その時は幸い小屋そばだったので耐えられましたが、要注意です。普段よりも荷物が重い分、水の消費は増えています。
コンロ用のガス関連は中身の量をきちんと確認しておきましょう。単独の場合は新品を持っていくくらいの心構えが必要です。
住
山岳用テントならばなんでもいいと思いますが、重すぎるものは避けましょう。私は2キロまでと決めています。それでも重いかな。テントの種類はここでは割愛しますが、自立型がいいと思います。狭いテンバでスペースがない場合、自立しないテントはきついです。というか張ることすら難儀します。
シュラフは想定気温にあったものが理想ですが、シュラフカバーや服装で補うのもありです。まぁこれでいつもしくじっているのですがw 心配ならば厚手のシュラフを用意すべきです。
ザックに足を突っ込んで寒さ対策とかありえないと思うでしょ?私も思っていましたが、瑞牆山では防寒着を巻きつけた足をザックに突っ込んでようやく眠れました。 ちょっと手持ちのシュラフでは寒いかもしれないと思う場合はシュラフカバーがいいと思います。
マットは銀マットの人を多く見かけますが、私はエアマット一択です。寝心地重視ですね。パンクの心配があるとよく言われますが、よほど古いものでなければパンクで困ったという話は聞いたことがありません。自分が最初のパンク被害者になった場合は気合いしかないですね・・・ザックでも着替えでも敷けるものを敷いて寝るしかないです。
あと余裕があれば枕。私は枕がないと眠れないので。それこそ適当な服袋に詰めてと思うのですが、専用枕はいいものです。
さらに寒がりな人はゾウ足。ホカロンは腰に当てると暖かいです。腰と足先が冷えると眠れません。
あると便利なもの
・小ザック
ちょっとピークハントなんて時は軽身で行くほうがいいです。重い荷物をデポして軽身で動けます。盗難対策には注意。我々は物陰ですw 小ザック用のレインカバーも忘れずに。
・サンダル
テン場ではいちいち登山靴を履くのが面倒です。私は軽量な靴をザックに引っ掛けています。
・ホカロン
万が一寒すぎた時用に。
・趣味のもの
私ならカメラ。電子デバイスは最小限で。私が絶対に持っていくのはKindlePaperWhite。軽くてバッテリー持ちが良くて、いい暇つぶしになります。眠れなかったら読書です。
・テーピング
体のケアにもなりますがテントの補修や何かと使い勝手があります。ガムテープでもいいかも。丸ごとではなくて、必要そうな分だけ巻き取ってなんてこともできます。
・着圧タイツ(C3fitなど)
個人的に超推奨したいのが着圧タイツ。普段より重い荷物で歩くのは、膝にかかる負担が想像以上なのでポンコツ親父は履くべきです。カッコつけて「俺はタイツなんてはかないよ?」と白根三山へ行ったら、途中で膝が壊れて、泣くというか、遭難したかと思いましたw できる限りのリスク回避はしておいて損はありません。出来ればこれも登山用が良いです。抗菌・防臭欲しいですね。
・雑巾
なんでもいいです。雨が降った際のテント撤収、ちょっとした汚れの拭い取り、突き抜ければそのままお風呂となんでも使えますw 私は常にタオル一本ザックに入れているので、お風呂用とは思っていますがだいたい雑巾になっています。
・ゴミ袋
これはなんでもいいのですがコンビニ袋が鉄板ですかね。二重にしておいて、ここになんでもゴミは放り込みます。燃えるゴミと燃えないゴミ用があれば捨てる際も楽チンです。
※雨のテント撤収の際、いつも一緒に登るTさんはゴミ袋をテント撤収用に用意しています。これはテント次第なのですが、日本製のテントはなにかとキチキチに作ってあって、撤収しづらい時があります。私のテント(Hillburg)はかなり大きめの袋なので濡れようが畳み方が荒かろうが突っ込めます。
豆知識
私が思うに日本製の山用品って収納袋がキチキチに作ってあって、収納時に破れるんじゃね?くらいの作りになっています。シュラフは圧縮したいので良いのですが、収納袋はちょいと大き目のサイズの方が扱いやすいです。様々なサイズが売られているのでちょこちょこ買い足していくと結構使いやすいです。
濡れたら困るものはドライサック。それ以外は適当な袋。私の師匠はコンビニ袋ですw
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